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お口の悩み医院ブログ虫歯治療

歯の一生についてその3

前回の続きになります。

 

虫歯治療と歯の一生の関係

以前から何回か書いている通り虫歯治療とは

虫歯の進行を止めるため感染している歯質を何らかの方法で取り除き、空いた空間を何らかの方法で埋めて咬める状態にすること。

になります。虫歯治療とは歯を結果的に消耗させている=寿命を縮めているということになるのです。

ところで、虫歯治療とは1回行ったらそれで一生やらなくて済むようにすることは可能でしょうか。

残念ながら、今の歯科治療技術ではどんな治療法であったとしても、その後どんなにきちんとケアをしても、再び治療しないで済むという事はありません。個人差もあり、ある患者様は20年、30年再治療をしなくてよかった(とはいえ、30年経って再治療をしに来ているという事になります。)という事もあれば、3年くらいで再治療になってしまう患者様もいらっしゃいます。これは、口腔の状態、咬み合わせ、その他さまざまな要因が関連しており、どれくらい保つのかというご質問に対して一概に答えられない原因となっております。

つまり、虫歯治療を行った歯は一生治療が必要になります。ですので、なるべく治療回数は少なく、そして最小限が良いというお話になるのです。

歯の一生と治療が密接に関係しているというのはここにあります。

再治療=意図的に再度歯を消耗させる=歯の寿命をさらに縮める

という構図です。

 

虫歯治療の流れ

これは一例であり、すべての患者様が全く同じ流れをたどるというわけではありませんが、よくある保険診療における虫歯治療の流れ、そして歯の一生をお話しします。

まず、

1・虫歯だけ取り除き歯の色をした詰め物をその場で詰める―CR(コンポジットレジンの略)というプラスチックの詰め物を入れます。

2・だんだんと劣化したプラスチックがかけたり、隙間ができたりしてそこから虫歯が再びできます。そうなると再治療はもう少し大きい虫歯治療になるので、その場で詰めるのではなく、型をとって銀歯を詰めたり、かぶせたりする治療を行います。1・に比べそれなりに歯を削ることになります。

3・歯と銀歯は違う材質であり、その間にある接着剤ももちろん違う材質なため、お口の中という過酷な環境にさらされ、接着剤がはがれてきます。するとその隙間から再び虫歯が進んできます。銀歯は複雑な形であったり、しっかりかぶっていたりすると虫歯が大きくなってきてもなかなか外れてこず、虫歯が進んでいることに気づかなかったりします。

4・虫歯が進みすぎると常にしみるようになります。こうなると、歯の中にある神経を取り除く治療をする必要があり、ここで大幅に歯を削る治療を行います。神経を取り除く治療を行った後。歯の根っこの中に杭を立ててかぶせ物を作る治療を行います。これが昔から言われている差し歯になります。

この次は5・6・7・と分岐します。

5・歯の神経を取り除く治療を行った後数年から数十年経って、痛くなったりすることがあります。これは神経を取り除く際に根っこの内側にわずかに残った細菌が長い時間をかけて根っこの周りを侵食し、膿の袋を作ることがあるためです。この場合は歯の神経治療の再治療を行います。感染根管処置と言われます。この治療で症状がなくなれば再び差し歯を作ることができますが、この際にはやはりさらに歯を削りますのでさらに歯は消耗します。また、もし症状が無くならず、痛みが消えなければ残念ながら抜歯の必要がありここで歯の一生を終えます

6・差し歯と歯は接着剤で固定されていますが、やはり3・の時と同じく接着剤が少しずつはがれ隙間から虫歯が再び進行することがあります。定期メンテナンス時に隙間を検知して気づくときもあれば、差し歯がとれて気づけるときもあります。感染してしまった歯質を取り切り、再び差し歯を入れることができることもありますが(とはいえかなり歯は消耗します)、虫歯を取り切ったら歯がほとんどなくなってしまいやむを得ず抜歯をしなければならなくなる、つまり歯の一生が終わることもあります

7・これは、・5・6・どちらの後でも起こりうることですが、神経を取り除いた歯は固く脆くなります。生きている木の枝はしなりなかなか折れませんが、枯れ木の枝は固くなっており、一見丈夫に見えても一定以上の力がかかるとぽきっと折れることが多いです。歯も全く同じで神経を取って死んでしまった歯は固くなるため一定以上の力がかかると割れてしまいます。特に、杭を立てているのでここを支点に折れてしまうことが多いのです。やはり、これも抜歯することになります。

以上が虫歯になった歯がおおよそたどることになる歯の一生になります。

細かい差や、神経の治療もしていないなのにいきなり折れてしまうなどイレギュラーなことはありますが、少なくとも、虫歯治療をした歯は確実に消耗していくという事です。特に、神経の治療をした後は顕著に消耗するため、なるべくあとに神経の治療をした方が肉体の一生と歯の一生の乖離が起きづらくなります

今日はここまでになります。3回に分けて歯の一生についてお話ししました。

次回は抜かない治療が難しい歯について、つまり破折した歯についてもう少し詳しくお話しできたらと思います。

 

金沢シーサイド歯科
院長

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