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歯周病の治療その1
今回から歯周病の治療について何回かに分けてお話しします。
歯周病の治療とは?
歯周病とは、基本的には歯周病になる細菌による感染症のことを指します。ですので、歯周病の治療とはこの細菌による感染を無くすことになります。
つまり、歯周病菌による感染症を治すことが歯周病を治すこととイコールになります。
通常感染症となると、原因となる菌は一種類になります。それは細菌性でもウイルス性でも同じです。
一例をあげると細菌性の感染であれば、昔は本当に怖かったペスト菌による感染、肺炎を起こす肺炎レンサ球菌。ワクチンはありませんがこの菌達に効く抗菌薬が存在し、菌を完全に死滅させることができます。
ウイルス性の感染は数多くのワクチンが存在します。出産後、乳児に様々なワクチンを打ちますが、半分くらいは特定ウイルスのワクチンであり、これを打っていれば、菌は増えることなく死滅します。
インフルエンザウイルスによる感染、昨今を騒がせているCovid-19による感染。この辺りはRNAウイルスのためすぐ変性してしまい、ワクチンがなかなか効かない状態にはなりますが、症状を起こすウイルス自体は一種類になります。
一方歯周病の場合はどうでしょうか。実は歯周病になる菌、症状を進せる菌というのは複数種類おり、これらの菌が相互に影響しあって症状を引き起こしていることが分かっています。そして、これらの菌は完全には解明されておらず、多数の口腔常在菌も深く関わっているとされております。
ワクチンが作れる菌のタイプとは非常に毒性が強くその菌が少しでも体にいれば不調が現れるレベルのみになりますので、歯周病菌のワクチンを作ることはできません。そもそも種類も膨大なため、いちいちその菌のためのワクチンを作らねばならず、現実的ではないのです。
歯周病菌に効く抗菌薬はどうでしょうか。抗菌薬には抗菌スペクトルというものが存在しその抗菌薬が効く菌の種類というのは大まかに決まっております。すべての細菌に効く抗菌薬は存在しません。歯周病の場合歯周病を進行させる菌が膨大な種類になるため、すべての歯周病に効く抗菌薬は存在しません。また、とある重大な理由でそもそも抗菌薬も効きにくいのです。これはまた別の機会にお話しします。
抗菌薬によって、一時的に歯周病を寛解させることはできることもありますが、全く効かないこともあります。そして、歯周病の菌はもちろん外からやってきます。その経路は食事であり、食事をすることで何らかの形で歯周病になる菌が口の中に入ってきます(感染とまでは言いませんが)。
つまり、歯周病の菌をお口の中から完全にいなくならせることは実は不可能なのです。
では、歯周病の治癒とはなんなのか、完治とはどういうことなのか。
次回はこの辺りのお話をさせていただきます。
金沢シーサイド歯科
院長