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歯周病の治療その2

前回の続きになります。

歯周病とは複数種類の菌による感染症であり、その菌の特定も難しいためワクチンを作ることはできない、そして、すべての菌に効く抗菌薬も無いというお話をしました。

歯周病菌に抗菌薬が効きにくい理由

歯周病菌に抗菌薬は効きにくいとされています。正確にはお口の中で歯周病を発症させている菌に対して効きにくい、もう少し言うと(じわじわと進行する)症状が、患者さんにはわかりにくいレベルで発症している歯周病に対して効きにくいのです。分かりづらいですね。

歯周病の患者さんに対して抗菌薬を処方することがあります。これは、症状が強く出ている患者さんに対して処方されます。痛かったり、腫れてたり、少し触るだけで血が出たり、とにかく強く症状が出ている患者さんです。こういう時に抗菌薬を処方すると、出血が減ったり、痛みや腫れが和らぎます。しっかり、お薬が歯周病菌の活動を抑えてくれるのです。

一方。あまり症状を感じない、少しうずくとか、匂いがするとか、ねばねばするとか、不快感はあるけれどすごく痛いというわけではない―つまり慢性症状があるだけの場合(それでも重度歯周病なことはいっぱいあります)、抗菌薬はほとんど効果がありません

これにはいくつか理由があります。

1・抗菌薬は血流に乗ってやってくるためです。激しい炎症がある場合は、血流も多く(だから腫れたり、出血が多くなります)そのため血流に乗ってやってくる抗菌薬の量も多くなります。そして、歯周病の菌は血管内にいるのではなく、歯に付着しているため、抗菌薬が出血部位からにじみ出ることによって菌に作用するのです。

2・実は歯についている菌はバリアーを持っています。これは非常に堅牢なバリアーであり、またこのバリアー自体も体にとって害であり、そのため歯を支える骨が溶けたりします。堅牢なバリアーによって守られているため、なかなか薬が中にいる菌まで浸透していかないのです。

つまり、慢性症状の時は抗菌薬の作用する量が少なく、バリアーではじかれてしまうためほとんど効かなく、激しい炎症があるときは量が多いためバリアーの中まで浸透して菌に作用させられるという事です。

しかし、それでも完全に菌を殺せるわけではないため、慢性症状に戻り、じわじわと歯周病が進んでいくという事です。

歯周病が薬では治らないというのはこのためです。

歯周病の治療法

以上を考えると、歯周病の治療は薬の力だけでは全く不十分であることが分かります。歯周病の菌は、血管内や細胞内にいるのではなく(ここにいる菌は薬で倒せます)歯に潜んでおり、堅牢なバリアーによって守られている厄介な存在なのです。ではどう倒すのか。それが歯医者でよく耳にするお口のメンテナンス、お掃除、クリーニングと言われる治療―物理的に取り除くことがとても重要になってくるのです。

次回に続きます。

金沢シーサイド歯科
院長

前回のお話です。
歯周病の治療その1

 

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