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歯周病の経過について

前回まで、歯周病の治療についてお話してきました。

歯周病は条件付きで完治するものであり、その条件は患者さんによる常日頃のケアや歯科医院でのメンテナンスをしっかり行っていく、というお話でした。

こうなってくるといくつかの疑問が出てくるかもしれません。

 

歯周病は、完治させないといけないのか?

そもそも、歯周病って放っておくとどうなるのでしょうか。軽度の歯周病から重度の歯周病というのはどのように判断され、それぞれどのような経過をたどるのでしょうか。

実は歯科医師として最も判断が難しいところはこの辺りだと考えております。

まず、歯周病は放っておくと、いつか必ず、歯を支える骨が溶けきって歯は抜けます。それまでに強い口臭があったり、腫れて痛いなども起こります。しかし、この「いつか」がいつなのかは、患者様によって全く異なるのです。

軽度の歯周病と診断した患者様が、歯周病の治療をせずに5年放っておいて次に診断したら重度になってしまったというケースもあれば、10年放っておいても変わらない軽度のままだったというケースもあります。これは患者様一人一人の生活習慣、生活環境、そして免疫の強さ、果ては体質といった本当に挙げればキリがないくらいの様々な要因によって経過が全く異なってしまうからです。

 

一例を挙げたいと思います。

30歳で軽度歯周病と診断がついた患者様がいらっしゃったとします。この方は、ご喫煙をしており、睡眠時間は少なく食生活は乱れており、そして歯医者には虫歯があるかもと思った時だけ来院するタイプの患者様だと問診でわかりました。この方は歯周病の完治を目指した方が良いでしょうか。

答えはかなり完治を目指した方が良いです。様々な要因で歯周病がとても進みやすい方と予測できます。それこそ、放っておいたら5年後には中等度、重度になっていてもおかしくありません。

 

次の例を挙げます。

70歳で中等度歯周病と診断がついた患者様がいらっしゃったとします。この方も、ご喫煙をしており、睡眠時間は比較的取れている食生活の乱れはなく、やはり歯医者には気になった時だけ来院タイプの患者様だと問診でわかりました。この方は歯周病の完治を目指したほうが良いでしょうか。

答えは、完治は目指す必要がない。しかし、歯科医院でメンテナンスを定期的に行う習慣はつけていただいた方が良い。となります。70歳になってもまだ中等度の歯周病であり、患者様の様々な要因から考えると歯周病の進行は非常に遅い部類であると考えられます。そのような場合は、完治を目指すのではなく、これ以上悪くならないように必要最小限に管理を行い、患者様の負担が増えないように努めたほうが患者様のQOLの向上につながると考えます。

 

上の例は当院における診断と治療方針となりますので満点の正解とは限りません。様々な医院において、医院の治療方針のもと、診察したドクターの様々な知識の元判断が下されるものであり、それは一定の正しさと不確実さが内包されております

当院では患者様一人一人の状況を最大限に考慮した、最良と思われる治療方針を立てて日々診療にあたっております。

お口のこと、歯周病のことでお困りなことございましたらどうぞ遠慮なくご相談ください。

次回はどんな要因が歯周病と関連があるのかを細かくお話ししたいと思います。

 

金沢シーサイド歯科
院長

 

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